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- 762_00【Thyroid gland甲状腺 Glandula thyroidea】 Produces thyroxine and triiodothyronine, hormones that increase metabolic processes. Pathological enlargement is known as goiter.
→(甲状腺は前頚部の後頭前側にある不規則な楕円形嚢胞からなる内分泌腺で、成人で25~40gである。甲状腺は舌根の上皮が落ち込んで生じた原基が、下の方へ伸びだして出して現在見る位置に落ち着いたものである。舌根の陥入部の名残りが盲孔であり、移動経路に尾を引いて残った原基が発達したものが錐体葉である。この一部が筋組織から成るmのを甲状腺挙筋という(出現率20~30%)。甲状腺挙筋が存在する場合は、舌骨または甲状軟骨から起こって甲状腺に停止している。甲状腺は2種類のまったく異なったホルモンを分泌する。主な甲状腺ホルモンはヨウ素を含むアミノ酸誘導体で全身の物質代謝を亢進させる。1分子に含まれるヨウ素原子の数によって、T4(チロキシン)とT3(3-ヨードチロニン)を区別する。もう一種の甲状腺ホルモンはポリペプチドでカルチトニン(またはチロカルチトニン)という、血中カルシウムイオンの濃度を低下させるホルモンである。ヨウ素をふくむホルモンは甲状腺濾胞を形成する濾胞細胞から分泌され、カルチトニンは濾胞の間あるいは濾胞の周辺に存在する濾胞傍細胞から分泌される。濾胞は甲状腺の構造単位であって中空球状の細胞集団であるが、細胞はその周辺に1層にならんでいるだけで、内腔はコロイドという濃厚な蛋白溶液で満たされている。この蛋白はチログロブリンとよばれ、ヨウ素を含む糖蛋白である。濾胞[上皮]細胞は機能状態によって形が異なり、単層立方または単層円柱上皮が普通であるが、コロイドが極端にたまっているときは、単層扁平上皮となる。この細胞はよく発達した粗面小胞体とGolgi装置をふくみ、糸球体も被い。分泌物はGolgi装置で径150~200nmの小果粒あるいは小胞につめこまれて、濾胞内腔に近い細胞表面の知覚に運ばれる。これは細胞先端部あるいはそのやや下方に集まっていることが多いので、subapical granule(またはvesicle)とよばれる。この果粒は開口分泌によって、その内容を濾胞腔に放出すると思われる。甲状腺が下垂体前葉ホルモンの一種であるTSH(甲状腺刺激ホルモン)によって刺激されると、細胞表面に偽足状の突起が現れて、コロイドを貪食する。そのようにして貪食されたコロイドをふくむ空胞を、コロイド滴という。これに水解小体が融合して、加水分解酵素を得ると、コロイド滴内でチログロブリンが分解され、甲状腺ホルモンであるT4およびT3が生ずる。これらのホルモンは低分子であるから、細胞内を拡散して、基底側に運ばれ、濾胞に近接して分布している毛細血管に吸収されるのである。濾胞傍細胞は動物によって発達が異なり、ヒトでは非常に少ない。細胞質が明るくみえるので、clear cellの略としてC-cellとよばれることがある。これは鰓後体に由来する細胞で、血中カルシウムを低下させるホルモンを分泌する。濾胞細胞のやや外方に位置するが、共通の基底膜で包まれる。しかし、この細胞は濾胞腔に面することはない。径200nm前後の小果粒を多数含んでおり、動物にカルシウムを注射するとこの果粒が著明に減少することから、カルチトニン産生細胞であることがわかった。この果粒は一般のペプチドホルモン産生細胞であることがわかった。この果粒は一般のペプチドホルモン産生細胞と同様に、Golgi装置で産生されて、細胞基底部(基底膜に面する表面)から、開口分泌の様式で放出される。)
- 762_01【Annular ligaments of trachea; Anular ligaments of trachea輪状靱帯(気管の);気管靱帯 Ligamenta anularia tracheales; Ligamenta trachealia】 Fibrous bridges spanning between and encircling the tracheal cartilages.
→(気管の軟骨輪相互をむすぶ橋状の結合組織。 (Feneis))
- 762_02【Body of hyoid bone舌骨体;体 Corpus (Ossis hyoidei)】 Anterior segment between the right and left lesser horns.
→(舌骨体は長楕円扁平の骨板で、上縁は鋭く、下縁はやや厚い。前面はややふくれた粗面で舌骨上筋および舌骨下筋群の数個の筋が着く面となる。後面は滑らかでややくぼむ。)
- 762_02a【Hyoid bone舌骨 Os hyoideum】 Bone that already begins to ossify before birth.
→(下顎骨と喉頭との間で舌根部にある独立したU字形の小骨である。体、大角、小角を有する。体は舟の形を呈し、膨隆部が前方を、陥凹部が後方を向いている。前面には十字形の隆線があり、これにより4区画に分けられている。上区には外側に舌骨舌筋、内側にオトガイ舌筋がつき、下区には外側に肩甲舌骨筋、内側に胸骨舌骨筋がつく。大角は体の外側端から後上方に延びる骨片で、その先端はは肥厚する。小角は体と大角の結合部から円錐形を呈して後上方に着きだし、その先端は茎突舌骨靱帯によって側頭骨茎状突起と連結する。この靱帯はまれに骨化することがある。舌骨は系統発生的に鰓の骨格の一部に相当するもので、舌骨体の上部、小角、茎突舌骨靱帯および側頭骨茎状突起が第2臓弓軟骨、舌骨体の下部と大角が第3臓弓軟骨に由来する。Hyoideumはギリシャ語のυ(hy)に似た(eidos)という意味の形容詞。なお日本語の「舌骨」はドイツ名Zungenbeinの直訳であるが、この骨は舌の根もと(舌根)に存在して、筋肉を介して舌と密接な関係がある。)
- 762_03【Thyrohyoid membrane甲状舌骨膜;舌骨甲状膜 Membrana thyrotyoidea; Membrana hyothyreoidea】 Fibroelastic membrane that extends between the upper medial border of the hyoid bone and the thyroid cartilage.
→(甲状舌骨膜は甲状軟骨上縁と舌骨下面の間の男性線維に富む結合織膜。)
- 762_04【Thyroid cartilage甲状軟骨 Cartilago thyroidea】 Largest laryngeal cartilage partly enclosing the others.
→(甲状軟骨は最大の喉頭軟骨で、喉頭の前壁と側壁の基礎となっている。右板と左板は正中部でほぼ直角に合する。正中部には上・下甲状切痕がみられ、上行上切痕の付近は前方へ突出し後頭隆起をなす。板の後端から上角・下角が伸び、外側面には上・下甲状結節がみられ、両結節間を斜線が走る。上甲状結節の下には、ときに甲状孔がみられ、上甲状腺動静脈の枝が通る。)
Lallouette's pyramid
- 762_05Lallouette's pyramid【Pyramidal lobe of thyroid gland錐体葉(甲状腺の) Lobus pyramidalis glandulae thyroideae】 Remnant forming a medial cord of thyroid tissue.
→(正中部にときに錐体形に存在する発生学的遺残。 (Feneis))
- 762_06【Cricothyroid muscle輪状甲状筋 Musculus cricothyroideus】 o: Anterior and lateral from the cricoid cartilage, i: Inferior margin of the lamina of thyroid cartilage on the inner and outer surface of the inferior horn. If the thyroid cartilage is fixed, it tilts the cricoid cartilage with the arytenoid cartilages posteriorly, thereby tensing the vocal ligaments. I: External branch of superior laryngeal nerve (only one). It is composed in 50% of the following parts.
→(輪状甲状筋は前方で輪状軟骨の弓から起こり、傾斜した内側線維束および、より水平な外側線維束となって甲状軟骨下縁とその下角前縁へ停止する。臨床的に前筋anticusといわれる。作用は甲状軟骨を前方に引き下げる。この筋の作用によって甲状軟骨が前方に傾くと、甲状軟骨正中部の後面と披裂軟骨の声帯突起との間に張る声帯靱帯はややひっぱれて緊張する。すわなち、声帯ヒダの緊張筋である。)
- 762_07【Left lobe of thyroid gland左葉(甲状腺の) Lobus sinister (Glandulae thyroideae)】
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- 762_07a【Lobe of thyroid gland[右・左]葉(甲状腺の) Lobus dexter/sinister (Glandulae thyroideae)】 Right and left lobes of the thyroid gland adjacent to the trachea.
→(気管に接して位置する。 (Feneis))
- 762_08【Isthmus of thyroid gland甲状腺峡部 Isthmus glandulae thyroideae】 Part of the thyroid gland connecting the right and left lobes.
→(甲状腺峡部は甲状腺の左葉と右葉を結ぶ部分である。峡部は器官軟骨の上部3-4個の前面を横走し、両葉および峡部の大部分は舌骨下の諸筋に被われている。甲状腺峡部は欠如したり、あるいは上方に長く突出して錐体葉をなし、時には舌骨にまで達することがある。)
- 762_09【Right lobe of thyroid gland右葉(甲状腺の) Lobus dexter (Glandulae thyroideae)】
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- 762_10【Lobules of thyroid gland甲状腺小葉;小葉 Lobuli (Glandulae thyroideae)】 Thyroid gland lobules that are separated by the inner layer of connective tissue from the fibrous capsule.
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- 762_11【Tracheal cartilages気管軟骨 Cartilagines tracheales】 Horseshoe-shaped cartilages of the trachea that are open posteriorly.
→(気管の壁は16~20個の馬蹄形の気管軟骨が靱帯(輪状靱帯)で連ねられて出来る。壁の軟骨は、とくに吸息時に気管内腔を閉ざされないように保つ。平滑筋は気管の内腔を狭め、また過度の拡張を防ぐ。)