932
- 932_01【Anterior branch of 4th cervical nerve; Ventral branch of 4th cervical nerve前枝;腹側枝(第4頚神経の) Ramus anterior; Ramus ventralis (Nervus cervicalis IV)】
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- 932_01a【Anterior ramus of spinal nerve; Ventral ramus of spinal nerve前枝;腹側枝(脊髄神経の) Ramus anterior nervus spinalis】 Larger anterior branch of a spinal nerve, which ca. form a plexus with adjacent fibers. In the thoracic region it supplies branches to the intercostal nerves.
→(脊髄神経の太い枝。周囲のものと合し大きい神経叢をつくる。胸郭では肋間神経となる。 (Feneis))
- 932_02【Dorsal scapular nerve肩甲背神経 Nervus dorsalis scapulae】 Nerve arising directly from C5 and piercing the middle scalene muscle. It runs deep to the levator scapulae and the two rhomboids, which it supplies.
→(肩甲背神経は第5頚神経由来の腕神経叢根からおこり、中斜角筋を貫いて走行し、肩甲挙筋および菱形筋の下を通り、これらの筋を支配する。)
- 932_03【Scalenus medius muscle; Middle scalene muscle中斜角筋 Musculus scalenus medius】 o:Transverse processes of C2-C7. i: First rib posterior to the groove for the subclavian artery. Elevation of the first rib and lateral flexion of the neck. I: Cervical plexus and brachial plexus (C4-C8).
→(中斜角筋はもっともよく発達した悌子状の筋で、C3-7横突起(前、後結節間の溝)に起始をもち、しばしば環椎と軸椎から起こる副束を持つ。この筋は第1肋骨に鎖骨下大静脈溝の背外側で停止し、ときに線維束の一部が第2肋骨外側外面に付くこともある。参考:斜角筋群は主に吸息筋として働き頚椎を動かす作用はむしろ従であるという。)
- 932_04【Scalenus anterior muscle; Anterior scalene muscle前斜角筋 Musculus scalenus anterior】 o:Transverse process of C3-C6. i: Scalene tubercle of first rib. Elevation of the first rib, lateral flexion and rotation of the neck; divides anterior and posterior scalene spaces. I: Brachial plexus (C5-C7).
→(前斜角筋は、C3-6横突起の前結節から起こり、第1肋骨表面にある斜角筋結節に達する。参考:斜角筋群は主に吸息筋として働き頚椎を動かす作用はむしろ従であるという。)
- 932_05【Levator scapulae muscle; Levator scapular muscle肩甲挙筋 Musculus levator scapulae】 o:Posterior tubercles of cervical vertebrae C1-C4. i: Superior angle of scapula. Raises the scapula; rotates the inferior angle of the scapula medially. I: Dorsal scapular nerve.
→(肩甲挙筋は、上位4つの頚椎の横突起から、斜角筋と板状筋の間で起こる。起始部は外側頚三角にに、細い筋個体としてみえる。この筋は僧帽筋で被われ、斜めに下行して、肩甲骨上角および、肩甲棘よりも上の肩甲骨内側縁に停止する。)
Bell's nerve
- 932_06Bell's nerve【Long thoracic nerve長胸神経 Nervus thoracicus longus】 Nerve arising from C5C7, piercing the middle scalene muscle, and then running on the serratus anterior, which it innervates.
→(長胸神経は第5~7頚神経由来の腕神経叢根より起こり、1本の神経となって腕神経叢および鎖骨下動静脈の後方を下行して第1肋骨の外側面を横切り腋窩に達する。そののち、この神経は前鋸筋へ向かう。『ベルの神経』:1829年、スコットランドの神経解剖学者Sir Charles Bell (1774-1842)が前鋸筋に分布するこの神経を記載した。彼の名は、1811年の「脊髄前根が運動神経で構成される」ことの報告(Bell-Magendie's law)や、1830年の顔面神経の麻痺についての報告(Bell's palsy)にも残されている。)
Boxer's muscle
- 932_07Boxer's muscle【Serratus anterior muscle前鋸筋;側鋸筋;外側鋸筋 Musculus serratus anterior; Musculus serratus lateralis】 o:First to ninth ribs, i: Inferior surface of medial border of scapula. Fixes, rotates, and lowers the scapula, draws it forward, and assists in raising the arm above the horizontal plane. I: Long thoracic nerve.
→(前鋸筋は、起始が二次的に体幹の腹外側に移動したものである。このことは人の個体発生でも示される。前鋸筋の起始は上部8ないし9本の肋骨の外側面。停止は肩甲骨椎骨縁(内側縁の肋骨面)。機能として肩甲骨の外転、肩甲骨を固定した場合は肋骨を引き上げる。神経支配は長胸神経。動脈は外側胸動脈から受ける。)
- 932_08【Supraspinatus muscle棘上筋 Musculus supraspinatus】 o: Supraspinous fossa, supraspinous fascia, i: Greater tubercle of humerus, capsule of glenohumeral joint. Abduction, tenses the joint capsule, minimal rotational components. I: Suprascapular nerve.
→(棘上筋は肩甲骨の棘上窩(外側は肩甲骨頚まで)および、それをおおい肩甲骨縁と肩甲棘に付着している筋膜から起こっている。腱は肩峰の下を通り、肩関節包に線維を放散させ、上腕骨の大結節の上面に付いている。機能としては上腕外転にさいし三角筋を補助する。関節窩に上腕骨頭を固定する。上腕骨頭を外旋する。神経支配は肩甲上神経。動脈は肩甲上動脈(肩甲横動脈)から受ける。)
- 932_09【Clavicle; Collar bone鎖骨 Clavicula】
→(鎖骨は胸骨上縁のところにある棒状の骨。鎖骨の内側端を鎖骨端といい、その内側面には四角形の頬骨関節面があって、頬骨の鎖骨切痕と連結する。また、外側端を肩峰端といい、その外側面には楕円形の肩峰関節面があって肩甲骨と連結する。鎖骨下面の胸骨端の近くには胸鎖靱帯圧痕、肩峰端のすぐ近くには円錐靱帯結節という粗面があり、それぞれ同名の靱帯が付着する。鎖骨は結合組織生骨であり、全身の骨の中では最も早く骨化がはじまる(胎生第5週)が、骨化の完了する時期は25最以後で長骨の中では一番遅い。鎖骨は一般の長骨と異なり髄腔がなく、内部は海綿質でみたされている。哺乳類のうち上肢を歩行以外にも使用する(たとえば、物をつかんだり、からだの前で上肢を交差させる動作など)動物では鎖骨は発達しているが、上肢を前後方向に動かして歩行だけに使用する動物では鎖骨はないか、あっても痕跡的である。したがって霊長目や齧歯目では鎖骨が発達し、食肉目や有蹄目には鎖骨がない。語源はClavis(腱、カンヌキ)の縮小形で小さな鍵という意味。)
- 932_10【Suprascapular nerve肩甲上神経 Nervus suprascapularis】 Nerve formed by C5 and C6 that runs via the brachial plexus to the suprascapular notch and then passes deep to the superior transverse scapular ligament to the supraspinatus and infraspinatus.
→(肩甲上神経は第5頚神経および第6頚神経由来の腕神経叢の上神経幹より起こり、肩甲舌骨筋の起始に沿って肩甲切痕を経て棘上窩に入り、棘上筋および棘下筋に分布する。)
- 932_11【Deltoid muscle三角筋 Musculus deltoideus】 Muscle consisting of three parts, all attaching on the deltoid tuberosity of the humerus and acting together to abduct the arm to about 90°. I: Axillary nerve.
→(三角筋は肩から上腕の上部にかけての丸みをつくる強大な筋。厚い筋性の被いで、上腕骨近位端を上、前、横および後から包んでいる。これは肩の弯曲を形どっている。しかしそれは筋自体によるものではなく、骨の形、特に大結節によっている。広げると、この筋は逆さにしたギリシャ文字のデルタに似ている。なぜなら肩関節における起始は非常に広がっており、上腕骨における停止は大変狭いからである。三角筋は鎖骨の外側1/3、肩峰および肩甲棘から起こる。肩峰部は複合羽状である(多数の線維-大きな生理的断面)、筋の内表面にあり三角筋粗面に停止しする腱に向かって筋線維の太い束が、集まっている。作用として上腕を外転する。しかし、三角筋は上腕を体幹に沿って下垂している状態から直ちに外転することはできない(三角筋の筋線維の走行が上腕骨の長軸に平行であるため、はじめは上腕を上方に引き上げるにすぎない)。したがって、上腕を下垂した位置から外転するためには、最初に棘上筋によって外転を起動しなければならない。)
- 932_12【Pectoralis minor muscle小胸筋 Musculus pectoralis minor】 Lies deep to the pectoralis major. o:Third to fifth ribs, i: Coracoid process. Rotates the scapula, draws the scapula downward and ribs upward. Accessory respiratory muscle. I: see 3.
→(小胸筋は前胸壁にあり大胸筋で完全に被われており、骨性の第(2)3~5肋骨の腹側端からおこり、肩甲骨の烏口突起に停止している。この筋は大胸筋になるものと同じ原基から発生する。正常では、この筋は上肢帯を胸壁と繋ぐにすぎないが、ときに大結節稜に停止する筋の破格が上肢筋の起始に向かっていることがある。作用は肩甲骨を引き下げる、または肋骨を挙上する呼吸補助筋。神経支配は内側胸筋神経。)
- 932_13【Common carotid artery総頚動脈 Arteria carotis communis】 Artery of the neck without any branches. It runs on both sides of the trachea and larynx and passes deep to the sternocleidomastoid. It arises on the right from the brachiocephalic trunk and on the left from the aortic arch.
→(総頚動脈は頭部に血液を送る血管の主幹。右は腕頭動脈の枝、左は大動脈弓の上行部より出る。そのため左総頚動脈は右のものよりも4~5cm長い。総頚動脈は枝を出さず、気管・喉頭の両側を上行し、甲状軟骨上縁の高さで音叉のような形をなし内・外頚動脈に分かれる。分岐部の後側には頚動脈小体が存在する。また分岐部のないし内頚動脈始部の壁はやや薄く膨隆しており(頚動脈洞)、舌咽神経の枝を介し血圧を感受するという。)
- 932_14【Superior root of ansa cervicalis; Superior limb of ansa cervicalis上根(頚神経ワナの);下行枝(舌下神経の) Radix superior (Ansa cervicalis); Ramus descendens nervus hypoglossus】 Root lying for a short distance on the hypoglossal nerve, then descending along the medial side of the internal jugular vein and passing into the inferior root.
→(頚神経ワナの上根は第一・第二頚神経から発する神経線維で、舌下神経と伴行した後、分枝して頚神経ワナの中で下根とつながる。舌骨下筋群を支配する。)
- 932_15【Ansa cervicalis頚神経ワナ;舌下神経ワナ(下行頚神経の) Ansa cervicalis; Ansa nervi hypoglossi】 Nerve loop formed by the first. second, and third cervical spinal nerves. It distributes branches to the infrahyoid muscles.
→(頚神経ワナは第1~第3頚神経より起こり、第1,第2頚神経の線維は一旦舌下神経に合した後に頚部を下行する小枝となる(上根)。一方、第2、第3頚神経の線維は内頚静脈に沿って下行する小枝(下根)をつくる。このような上根と下根とが吻合してループをつくる。このループを頚神経ワナといい、その枝は舌骨下筋に分布する。)
- 932_16【Thyrohyoid muscle甲状舌骨筋 Musculus thyrohyoideus】 o: Oblique line of thyroid cartilage, i: Greater horn and lateral one-third of the medial aspect of the hyoid bone.
→(甲状舌骨筋は、胸骨甲状筋の連続のように見える前頚部の舌骨下筋群の1つ。舌骨に向かって走る胸骨舌骨筋の上方への延長を形づくる。甲状軟骨から始まり舌骨体と舌骨大角の腹側半部に停止する。参考:この筋と甲状舌骨膜との間に舌骨下包、甲状軟骨喉頭隆起の前に喉頭隆起皮下包がある。)
- 932_17【Omohyoid muscle肩甲舌骨筋 Musculus omohyoideus】 o: Superior border of scapula, i: Body of hyoid bone. It is divided into two bellies by an intermediate tendon that passes over the jugular vein. Hence it also tenses the pretracheal layer of the cervical fascia.
→(肩甲舌骨筋は、肩甲骨上縁で肩甲切痕の内側から、そのほか上肩甲横靱帯から起こり舌骨に向かう。中間腱により下および上腹に分けられる。参考:上腹と下腹は別の神経枝を受ける。)
- 932_18【Superior belly of omohyoid muscle上腹(肩甲舌骨筋の) Venter superior (Musculus omohyordeus)】 Upper portion of the omohyoid muscle between the hyoid bone and intermediate tendon.
→(肩甲舌骨筋上半部。舌骨から中間腱までの部分。)
- 932_19【Phrenic nerve横隔神経 Nervus phrenicus】 Nerve arising from C4 with accessory branches from C3 and C5. It lies on the anterior scalene muscle and then passes anterior to the hilum of lung to the diaphragm, with some fibers continuing into the peritoneum.
→(第3~5頚神経から出て頚神経叢を形成し、主に第4頚神経から起こる。頚部では前斜角筋の前面に沿って、また胸腔中では縦隔胸膜と心膜との間を通って、それぞれ走行する。横隔膜にいたる運動神経であるが、壁側縦隔胸膜、心膜、横隔胸膜、腹膜に知覚神経を送り(心臓枝)、腹腔神経叢からの枝と交通する(横隔腹枝)。時に鎖骨下筋神経または腕神経叢の他の神経から小枝が出てて、第1肋骨付近の高さで横隔神経に合することがあるが、これを副横隔神経という。)
- 932_20【Sternothyroid muscle胸骨甲状筋 Musculus sternothyroideus】 o: Posterior surface of manubrium of sternum and first rib. i: Oblique line of thyroid cartilage.
→(胸骨甲状筋も前頚部舌骨下筋の1つ。胸骨後面に起始を持ち、胸骨舌骨筋の背側およびやや内側にある。急角度上方に走り、甲状軟骨の斜線とそのうしろに付く。機能としては喉頭と甲状軟骨を下制する(ひき下げる)。神経支配は頚神経ワナ。動脈は上甲状腺動脈の輪状甲状枝から受ける。)
- 932_21【Sternohyoid muscle胸骨舌骨筋 Musculus sternohyoideus】 o: Posterior surface of manubrium of sternum and sternoclavicular joint, i: Body of hyoid bone.
→(胸骨舌骨筋は、前頚部舌骨下筋の1つ胸骨柄の後面と胸鎖関節から起こる。上方に向かって正中線に近づき、舌骨体の上縁に停止する。作用として舌骨を下げる。神経支配:脊髄頚神経ワナを介して上位頚神経参考:上端と正中甲状舌骨靱帯との間に舌骨後包(不対)がある。)
- 932_22【Thyrocervical trunk甲状頚動脈 Truncus thyrocervicalis】 Varying common trunk of the inferior thyroid artery, transverse cervical artery, and suprascapular artery.
→(甲状頚動脈は前斜角筋内側縁で起発し、次の諸枝にわかれる。①下甲状腺動脈、②上行頚動脈、③頚横動脈、④肩甲上動脈)
- 932_23【Internal thoracic artery内胸動脈;内乳動脈 Arteria thoracica interna; Arteria mammaria interna】 Artery arising from the subclavian artery and descending along the anterior inner side of the thorax to the diaphragm.
→(内胸動脈は胸骨縁に沿い前胸壁内面を下行し、横隔膜前端を貫いて上腹壁動脈に移行し、腹直筋内で下腹壁動脈と吻合して、前正中線に沿う縦走動脈路を形成する。異常の経過からして縦隔と前胸壁に分布するのに適している。縦隔への枝としては、縦隔枝、胸腺枝、気管支枝さらに横隔神経に伴走する心膜横隔動脈がある。前胸壁への枝としては、胸骨枝、肋間隙を外側に走り肋間動脈と吻合する前肋間枝、肋間隙を貫き乳腺枝を分岐しうる貫通枝、ならびに横隔膜と胸壁下部に分布する筋横隔動脈などがある。なお側胸壁内面を下行する外側肋骨枝がまれに内胸動脈初部からおこることがある。)
- 932_24【Brachial plexus; Brachial nerve plexus腕神経叢 Plexus brachialis】 Nerve plexus formed by the ventral rami of spinal nerves C5-T1 that supplies the arm and partly also the shoulder girdle. It passes between the anterior and middle scalene muscles to the head of humerus. It can be divided into supraclavicular and infraclavicular parts.
→(腕神経叢は通常第5~8頚神経の全部および第1胸神経の大部分からはじまるが、またしばしば第4頚神経および第2胸神経と細枝で交通する。この神経叢は前斜角筋と中斜角筋との間を通って上内方から下外方に走り、鎖骨の下を通って腋窩に至り、上腕帯および自由上肢部の諸部に枝を与えるもので、脊髄神経叢のなかで最も発育がよい。腕神経叢の出来肩は極めて独特で、まず第5,6頚神経が合して1幹を作り、第7頚神経はそのまま独立に1幹をなし、第8頚神経と第1胸神経と合して1幹を作るが、これをそれぞれ上神経幹、中神経幹および下神経幹という。この3幹はつぎにおのおの前後2枝に分かれるこれらの枝うち、後枝は3本合して1本の後神経束を作り、その延長が橈骨神経となる。前枝は上中2本が合して新たに外側神経束を生じ、下神経幹の前枝はそのまま内側神経束となる。この内外の神経束はおのおの分かれて2枝となり、かくして出来た4枝のなかで中央の2枝が合して正中神経を作り、外側枝は筋皮神経となり、内側枝はさらに分かれて尺骨神経、内側上腕皮神経、内側前腕皮神経の枝となる。腕神経叢をその値する部位により鎖骨上部と鎖骨下部とに分ける。鎖骨上部は鎖骨上窩で胸鎖乳突筋下部の後にあり、鎖骨下部は鎖骨下で大小両胸筋に被われて腋窩に至る。)
- 932_25【Supraclavicular part of brachial plexus鎖骨上部(腕神経叢の) Pars supraclavicularis (Plexus brachialis)】 Portion of the brachial plexus extending as far as the upper margin of the clavicle. Its branches directly supply the shoulder girdle muscles.
→(鎖骨上部からは運動神経が出て、上肢帯の諸筋を支配している。胸郭の背面と側面へ行く神経は肩甲挙筋および小・大菱形筋へ行く肩甲背神経、胸郭の側壁で前鋸筋の筋尖に終わる枝を出す長胸神経、および広背筋を支配する胸背神経。肩甲骨に関係する諸筋のうち、その後面のもの[棘上筋と棘下筋]は肩甲上神経によって、前面のものは肩甲下神経に指背さている。後者はまた大円筋へも行く。胸郭の前面には鎖骨下筋神経[鎖骨下筋へ]と外側および内側胸筋神経が来ており、大および小胸筋を支配している。)
- 932_26【Subclavian artery鎖骨下動脈 Arteria subclavia】 Artery that passes with the roots of brachial plexus between the anterior and middle scalene muscles through the scalene space, over the first rib in the groove for the subclavian artery. From the lateral border of the first rib, it continues as the axillary artery.
→(鎖骨下動脈は上肢の主幹動脈の根部をなし、右側は腕頭動脈から、左側は大動脈弓からそれぞれ分かれてはじまり、前斜角筋の後方を通って第1肋骨外側縁で腋窩動脈につづく。胸・頚・上肢移行部の動脈として、多彩な分枝と変異に富むことを特徴とする。分枝はつぎの通りである。椎骨動脈、内胸動脈、甲状頚動脈、肋頚動脈、下行肩甲動脈に分枝し、第一肋骨を越えたところで腋窩動脈となる。)
- 932_27【Subclavian nerve鎖骨下筋神経 Nervus subclavius】 Thin nerve arising from the superior trunk containing fibers from C4 and C5 that innervates the subclavius. It often distributes a branch to the phrenic nerve.
→(腕神経叢の上神経幹からおこり、鎖骨下筋を支配する神経支配。これにより、上肢を動かす際に胸鎖関節に作用し、鎖骨の運動を介して肩の位置を調節する。(イラスト解剖学))
- 932_28【Subclavius; Subclavius muscle鎖骨下筋 Musculus subclavius】 o: First costal cartilage, i: Inferior surface of clavicle. Stabilizes the sternoclavicular joint against being drawn laterally. I: Subclavian nerve.
→(鎖骨下筋は体幹から起こって上肢帯に至る腹側の筋で、第1肋骨と肋軟骨の上縁から起始し、鎖骨下面の溝につ付着する。作用として鎖骨を引き下げ、前方に突き出す。神経支配は第5,6頚神経(鎖骨下筋への神経)。動脈は胸肩峰動脈の鎖骨枝から受ける。鎖骨下筋は小さく、烏口鎖骨靱帯によって前方から被われている。)
- 932_29【Anterior thoracic nerves; Pectoral nerves前胸筋神経;胸筋神経 Nervi thoracici ventrales; Nervi thoracici anteriores; Nervi pectorales】
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- 932_30【Pectoralis major muscle大胸筋 Musculus pectoralis major】 o:Clavicle. Sternum. Second to seventh costal cartilages and rectus sheath, i: Crest of greater tubercle. Adduction and medial rotation of the arm. I: Medial and lateral pectoral nerve.
→(大胸筋は上肢の屈筋群から派生したもので、前胸壁にある大きな翼状の筋で鎖骨部、胸肋部、腹部からなる。鎖骨部は上肢帯(鎖骨)から腹側胸壁に広がって上腕骨大結節稜(遠位)に停止する。これは鎖骨の胸骨半、胸骨、および第(1)2~7肋軟骨から起こり、腹直筋鞘の前葉からも起こる。胸肋部と腹部の線維は鎖骨部の線維の下を横切り、大結節稜の近位に着き、鎖骨部は遠位に停止する。広背筋の場合のように、頭側に開き、上腕の外転と前方挙上の際に明らかとなる筋肉のスポットが生じる。上腕を垂れ下げているときは、大胸筋は四角形をしているが、上腕骨が外転されると、三角形となる。外側縁は前腋窩ヒダを形成している。後腋窩ヒダは広背筋の外側縁によってつくられている。大胸筋の鎖骨部と三角筋の間の奥には結合組織腔があり、そこを橈側皮静脈が通る。その隙間は力強い、筋肉の発達した人では非常に狭い。しかし、大胸筋の鎖骨部の発達が弱い場合は、鎖骨に向かって広がり、逆さにした三角形に似ている。その場合、鎖骨胸筋三角という名前が適当である。ここでは皮膚が窪んで鎖骨下窩を形成している。種々の形と大きさの胸骨筋が胸筋筋膜の上に発達することがある。これは肋骨縁に沿って一側または両側に広がっている(ヨーロッパ人の約5%)。もしこの筋が胸筋神経の枝で支配されていれば、これは哺乳類の皮筋の遺残と考えることができる。この筋はしばしば胸鎖乳突筋とつながっており、肋間神経の枝で支配されているかもしれない。広背筋の前縁と大胸筋の外側縁との間には、結合組織の線維(線維性腋窩弓fibrous axillary arch)が弓状に走って両筋を結んでいるが、数%の頻度でここに筋線維束(筋性腋窩弓muscular axillary arch)がみられる。筋性腋窩弓の存在は、生体でも皮膚の上から認めることが出来る。この以上筋束を最初に記載したのはRamsay(1795)であるが、Langer(1846)の広汎な研究以来、ランゲル筋Langer's muscleと呼ばれるようになった。)